業務フローの整備の概要と詳細

1.業務フローチャートの整備

上場審査において、整備すべき業務フローチャートは、一般的には以下の業務になります。

上記3業務について、上場予定会社、主要な子会社について、主要な事業セグメント別に業務の開始手続から会計システムへの計上、会計帳簿への反映まで、一連の手続を図表化したものであります。記載すべき内容については、予め主幹事証券会社との間で確認を行っておく必要があります。

フローチャート作成の基本的な考え方

フローチャートの作成形式(使用する記号等)については、規定はされていませんが、審査担当者が分かりやすいように作成する必要があります。

作成すべき業務の基準も特に明確にされておりませんが、販売業務であれば、10%程度の構成比率を超える場合には作成が必要です。それ以下の場合については、公開引受部の担当者に相談して、今後の拡大予測や重要性の判断を行い、確定を行なう必要があります。仕入・外注につきましては、販売業務に対応するものを記載する必要があります。

また、フローチャートは、基本的な(標準的な)手続を記載するという認識で作成を行ないます。異例手続や特殊な事例まで含めて記載すると、業務の本質的な手続のフローが見えなくなり、かえって審査担当者を混乱させることになります。

ただし、現金での振込入金、手形での入金等は、相違する部分の業務手続から分けて記載します(例えば、振込を記載した後に手形入金を続けて記載します。)。小売業における現金販売、クレジット販売、代引等についても同様です。

一方、商談開始から、受注確定までの見積書と交渉等の繰り返しが複数行われる場合は、全てを記載する必要は無く、審査の段階で、見積書等の実際帳票で交渉の経過(金額等の変遷)を説明を行なうことで記載を省略できます。

また、大幅なシステム変更を行なっている過程においては、取りあえず現状手続を記載して、システム変更部分を別途説明することも可能です。

フローチャート作成後のチェック事項

フローチャートを作成後は、主に以下のチェックを行います。

・実際使用帳票との確認

一連取引の中で、取引金額が連続して会計システム計上、会計帳簿の明細に反映するまで継続して確認できるか。不連続の場合は、フローチャート上、脱落している帳票、手続がある。根拠帳票で画面入力が可能か。

・決裁権限の確認

対外的、あるいは他部署間に移動する帳票・データに関して、部署長の承認を得ているか。内容に応じて職位:権限者が承認(帳票、稟議書等への押印)を適切に行なっているか。この段階で、職位と承認者の妥当性の判断を行なう。特に、社長と取締役会との承認基準をチェックする。

・牽制機能の十分性の確認

部署内においては、担当者、チェック者、所属長のダブルチェックを実施しているか。管理部門(本社部門、事務管理部門等)が、営業部門、仕入部門に対して業務手続、金額の妥当性について、独自に牽制を行なっているか。管理部門が金額のチェックができず、単純に支払依頼に基づいて支払を行っている場合や、売上の証憑(証拠となる帳票)がないまま、売上計上を行っている場合、取引先の請求書での支払い、仕入計上や支払明細で入金を確認している場合は、牽制機能不備と判断され、上場審査上大きな問題となります。

このような場合は、売掛金管理や買掛金管理にも不備が多く、長期滞留債権の発生も多く見られますので、上場準備においては、早急に整備に着手する項目となります。

・規程等との整合性の確認

一般的に、期間を経過することにより、実務面おいて、手続が変更される場合が多く見られます。随時規程の見直しが行なわれていないため、規程が制定されていても、実務手続と乖離してしまい、更にそのことで、使用されていない場合が多く見受けられます。フローチャートの整備に合わせて規程の見直しを行う必要があります。

また、関連する販売管理、購買管理、外注管理など規程だけではなく、取締役会付議基準、職務権限表、稟議規程、文書保存基準、職務分掌規程、経理規程等の整合を行う必要があります。

上場審査においては、業務フローチャートと実際に使用した帳票、会社規程との整合を確認し、その運用が適切になされ、定着しているかということが確認されます。

特に、主要業務プロセスにおける決裁権限の妥当性、照合手続、会計基準との整合性、牽制機能の十分性が実際に使用された帳票を基に確認されます。

また、平成20年4月より、実施された内部統制監査における「企業の事業目的に大きく関わる勘定科目(一般的には、売上高、売掛金、棚卸資産)の業務プロセス」と上記3業務は重複しており、上場準備においては、早急に整備に着手する項目となります。

また、株式上場会社は、金融商品取引法により、平成20年4月以降に開始する決算年度において、内部統制監査を義務付けられており、内部統制整備と併せて十分な準備・対応を行う必要があります。→内部統制整備について