上場時ファイナンスについての概要と詳細

通常、証券取引所への上場申請とほぼ同時期に開始され、取引所審査の完了である「上場承認」と同日でファイナンス手続の開始である「有価証券届出書提出(EDNETへの掲載)」が行なわれるのが一般的です。上場承認日の対外発表は取引所が行い、この段階で貴社の株式上場承認が公になります。この後は、上場会社と同様な開示を行う必要があります。上場申請から上場承認までの上場審査と上場時ファイナンス手続については、株式上場までの手続概要「株式上場までの手続概要(ジャスダック証券取引所の場合)」をご参照ください。

上場時ファイナンスは下記の手続で実施されます。

1.引受審査資料提出

上場申請と同時期にファイナンス審査が開始され、主幹事証券に引受審査資料(ドラフト)を作成して、添付資料と併せて提出します。提出後、質問がなされ、回答書を作成してヒアリングが実施されます。引受審査資料は、Uの部等から加工して概ね作成できますが、資金使途、調達予想額等が新たに追加される項目となります。

また、引受証券会社(引受比率)は、上場申請までに決定しておくのが望ましいと言えます。引受証券会社の構成については、主幹事証券の提案を踏まえて検討します。このほかに、印刷会社に連絡して、目論見書、納品日程を確認しておく必要があります。

2.財務局事前打ち合わせ

有価証券届出書の提出(上場承認)の約1ヶ月前に、財務局と日程相談及び有価証券届出書の記載時点の確認を行います。有価証券届出書(ドラフト)とその他資料を持参します。有価証券届出書はTの部に上場時ファイナンス概要(証券情報)を追加したもので、印刷会社に要請して準備しておく必要があります。今後の財務局との対応や有価証券届出書の内容について確認されますので、会計責任者も同行するのが望ましいと言えます。

3.引受審査資料を引受証券会社へ提出

有価証券届出書の提出(上場承認:発行決議)の約2週間前までに、引受審査資料の確定版を作成して、他の引受証券会社に提出します。したがって、遅くともこの時期までに、引受証券会社(引受比率)を確定しておく必要があります。提出後、引受証券会社の審査部から、質問がなされて回答を行ってファイナンス(引受)審査が進められます。

4.引受審査資料を引受証券会社へ提出

有価証券届出書の提出(上場承認)の約1週間前に、有価証券届出書(目論見書)の校了がなされます。この時点までには、有価証券届出書に記載する想定株価について、主幹事証券会社と合意を行っておく必要があります。また、各引受証券会社と目論見書の納品部数、納品場所の確認を行い、印刷会社に指示を行います。IR資料についても最終確認やファイナンス資金の払込取扱銀行についても確定しておく必要があります。

5.有価証券届出書提出

上場承認と同日付けで、有価証券届出書の提出を財務局に行います(実際はEDNETに登録、アップします)。これに先立って取締役会を開催し、公募新株式発行決議、売出決議を行います(ただし、株価は未定となります)。当日の15:00以降に取引所より、会社の上場承認が対外公表されます。この段階までの情報管理を徹底しておく必要があり、この後は、取材の申込もあるので、その対応も前もって準備しておく必要があります。

また、有価証券届出書の届出を行わなければ、募集の勧誘行為を行うことはできないことに留意しておく必要があります(金融商品取引法第4条第1項)。また、勧誘行為を行なえるのは、証券会社の外務員であり、投資家に目論見書を提示して行うことが義務つけられています(同法第15条第2項)

翌日から、主幹事証券会社のアレンジにより、1日4〜5社、社長、IR責任者等で、機関投資家訪問を行います。IR資料、目論見書、会社案内等を持参して説明を行います。また、アナリストや機関投資家100人程度を集めて、事前説明会(ロードショー)も実施されます。期間は、概ね10日〜2週間程度行われております。

6.価格ゾーン・発行価額決定

IR最終日に、主幹事証券がこれまで訪問した主要な機関投資家に対する株価、株数、購入意思等についてヒアリング(プレヒアリング)を行い、また、事前説明会におけるアンケート結果を踏まえて、ブックビルディングを行う価格帯(上限、下限)を会社に提示します(下限価格の85%が会社法上の発行価額となります。)。翌日、取締役会を開催し、条件決定を決議し、対外公表します。訂正届出書@の提出(EDNET)、翌日に公告を掲載します。

7.ブックビルディングの実施、公開価格・引受価額内定

訂正届出1を受けて、ブックビルディング(需要予測)が開始されます(期間は5営業日程度)。ブックビルディングでの申込は、引受証券会社において行なわれます。ブックビルディング最終日に、主幹事証券は、各引受証券会社から需要を集計して、公開価格(投資家の購入価格)を提案します。同時に、引受手数料率について、最終交渉を行います。引受手数料率は、上場市場、調達額、需要の強弱を総合的に判断して、提示されます。この手数料率を公開価格から差し引いた価格が「引受価額(自社、売出人の受取価格)」となります。

8.届出効力発生・申込開始

上記7翌日、公開価格及び引受価額の正式決定がなされます。訂正届出書Aの提出(EDNET)を行い、財務局で「効力発生通知書」を財務担当役員が訪問して受領します(効力発生は有価証券届出書の届出から中2週間(同法第8条第1項、第15条第1項)が必要であり、効力通知書を受領しないと募集の申込を行えないことになっております。)。会社、売出人は幹事証券会社と元引受契約等を締結し、株式の募集が開始されます。

9.届出効力発生・申込開始

上場日の前日が払込期日で、申込最終日に各引受証券会社から主幹事証券に取りまとめられた申込証拠金が、会社の指定した払込取扱銀行に振り込まれます。

上場日(払込期日の翌日)に、資金が貴社の口座に振り返られる。

市場で初めて付いた価格が「初値」となります。

上場株化形成プロセス上場時株価形成プロセスをご参照