第三者割当増資の概要と詳細

2.第三者割当増資

第三者割当増資とは、取引先やベンチャーキャピタルなどの特定の第三者に新株を発行し、資金を調達する手法のことをいいます。株主に平等に新株を割当てる株主割当増資以外は、第三者割当増資となります。株主であっても、特定の株主のみに割当てる場合は、第三者割当増資に該当します。

また、株式譲渡制限会社(会社法上の非公開会社)の場合、取締役会決議の他に、株主総会の特別決議が必要となります(会社法第199条第2項、第309条第2項第5号)

具体的な株主総会議事録及び登記関係書類は、下記を参考にしてください。

(法務省ホームページ)
サービス 行政手続の案内・様式のオンライン提供
第11-1商業・法人登記関係手続
1 商業・法人登記申請
申請書様式
09-1 株式会社変更登記申請書(募集株式発行)←Word版があります。
記載要領
09-1 株式会社変更登記申請書(募集株式発行)
29-2 募集株式発行(記載要領・記載例)

更に、有利な発行価格で新株式の発行を行う場合は、株主総会でその理由を説明(議事録にも記載が要件)しなければなりません(会社法第199条第3項)

上場予定会社である場合には、会社法や金融商品取引法の各規制のほかに、上場直前2期間については、各取引所の規則や規制があり、抵触した場合は申請の不受理や申請の取消しに該当する事項もあるため、注意する必要があります。
当該期間の第三者割当増資については、主幹事証券会社に十分にご相談ください。

実施内容の開示

直前事業年度末日の2年前の日の翌日から上場日までの第三者割当増資については、「上場申請のための有価証券報告書(Iの部)、第四部【株式公開情報】第2【第三者割当等の概況】」において、開示する必要があります。

第三者割当増資の開示期間

また、以下の内容を個別に開示することになります。

最終期限は、上場承認日の前日までとなっておりますが、これはやむを得ない合理的理由がある場合のことであり、実質的には上場申請までに資本政策は完了しておく必要があります。

継続保有の確約

取引所の定める規則において、継続保有期間が設けられており、上場日以後6ヶ月間を経過する日(当該日が割当株式に関わる払込期日から1年間を経過していない場合は、1年間を経過する日)までの期間が該当します。

募集株式の割当及び所有に関する規制の概略
(注1)
上場申請日の直前事業年度末日の1年前の日後において行われた第三者割当等により割り当てられた募集株式(取得株式等を含みます。)が対象となります。
(注2)
上場日以後6ヶ月間を経過する日が割当株式に係る払込期日又は払込期間の最終日から1年間経過していない場合は、割当株式に係る払込期日又は払込期間の最終日から1年間経過する日までが継続所有期間となります。

(東京証券取引所ホームページ「新規上場の手引き(P.146)」より抜粋)

また、当該期間に行った第三者割当増資で取得した株式を移動(譲渡)することに関し、各取引所の規則や規制があり、原則的に行えないと認識しておく必要があります。
各取引所の規則(上場前の公募又は売出し等に関する規則)(外部リンク)をご覧ください。

有価証券通知書・届出書提出の要否

第三者割当増資において「50人以上かつ発行総額が1千万円超」となる場合は、割当先決定後、遅滞無く財務局へ有価証券通知書を提出することになります。

割当先 発行価額の総額
1千万円以下 1千万円超〜1億円未満 1億円以上
50人以上 不要 有価証券通知書
[府令4条通知書]
(法4条5項)
有価証券届出書
(法4条1項又は2項)
[略号]法:金融商品取引法、府令:企業内容等の開示に関する内閣府令
人数基準の根拠:金融商品取引法施行令 第1条の5
(勧誘の相手方が多数である場合)
法第二条第三項第二号 に規定する政令で定める場合は、五十人以上の者を相手方として有価証券の取得勧誘を行う場合とする。
審査内容

上記のとおり、上場直前期以降の第三者割当増資については、開示義務、継続保有が義務付けられております。
この主旨は、割当先の短期利得行為を排除することによる「株式上場制度の公平性の確保」を目的としたものであり、審査の過程において、割当理由、経緯に関する合理性、割当株数、割当価格に関する妥当性が慎重に審査されます。